「次へ渡す」



水曜、この日は厄介な風だった。

行きが向かい風。
だから今を耐えれば帰りは脚を止めても帰れるな、はっはーっと。

そして目的の岩谷峠1本。
11:44(箕谷側)
とりあえず登っておきたかった。

強度はメディオペースにソリア足し。
斜度の安定した所を自分のペース、
斜度の安定しない所で一つ二つ少し無理をして頑張る。

この感覚で行くと、今のぼくだと
11分台に入る、進歩だ。
僅かだがちゃんと進んでいる。

シッティングだけで登るようにして、
最後の数百mのみスプリントをした。

納得いかなければ何本も登るつもりだったけど、そうならなかったので1本で終了。
捨て台詞は“このぐらいにしといてやるよ“


ぼくは登りで自分の作れるペース幅が少ない。
11分切る時も毎回誰かと登ってるという好条件の元。

誰かと走って限界が限りなく
引き出されるのは非常に良い事だけど、
メンタル面に穴があるという事でもある。
ぼくはもうワンステップ進みたい。

この日やった練習なんかは
そういう1人の時と、1人じゃない時とのギャップを埋めていく練習。

たとえばこの繰り返し作業により、
ぼくが1人で出せるタイムが
皆で走って凌ぎを削り合った時のタイムと同じになったとする。

その状態をまた皆と走る場に持ち寄る、
当然1人でも最高タイムを出せるモノだから主導的な走りになる、仕掛ける攻撃量も増える。

皆で頭打ちになっていたTimeを
それで破壊する事ができる。

その集団そのものが速く、
強くなっていく。



あぁ良循環。



けど、簡単にはいきませんね。
ぼくもまだまだ強くなれていない。

ぼくは自分が練習で頭打ちしたり
モチベーション維持や向上に困ってる時に、周りの人に沢山救われた。

恩返しとかそんな着せがましい事ではなくて、救ってもらった経験を活かして
ぼくもまた同じ状態を誰かに作れるようにしたい。

それは誰でもいいや。
困った人、強くなりたいって人なら。
次へ渡すのが誰かは問題じゃなくて
“次へ渡す“のが問題で大切な事だと思ってる。


それも根本は自分のため。
ぼくが誰よりも強くなりたいから。

乗りたての頃ってもっとワガママで
驕りがあって、独りよがりだったんだけどなぁ。

考えは変わってしまったよ。
出会いのおかげか。

この日の練習帰り、風向きは変わって
また向かい風だった。